新型コロナ感染確認者の発生状況について

第二話

言葉の確認をします。厚労省のHPから引用します。

「新型コロナウイルス感染症の現在の状況について(令和2年4月20日版)

4月20日現在の状況及び厚生労働省の対応についてお知らせします。
国内で今般の新型コロナウイルスに関連した感染症の感染者は10,751例となりました。
 内訳は、患者6,656例、無症状病原体保有者704例、陽性確定例(症状有無確認中)3,391例となります。国内の死亡者は171名です。
 また、国内での退院者は80名増加し、1,239名となりました。」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10936.html

厚労省のHP

 4月18日にお示しした“累積”図におけるWHOのConfirmed case(感染確認者)は、厚労省のHPでの“患者”ではなく“感染者”を指します。なお、厚労省のHPでの“感染者”はPCR陽性者数、そして“患者”はPCR検査陽性時有症状者を指します。厚労省HPのデータを基に作成した図をお示ししていきます。

 PCR検査による陽性者数率は4月21日の時点で8.9%です。この比率は、検査件数が1000件を越えた2月17日の5%から124550件実施した4月21日まで、一貫してそれほど高くなっていません。つまり、“検査をしなかったから陽性者を見逃してきていた”のではありません。検査件数イコール検査人数ではありません。
 なお、一部に“検査をどんどんすれば早期発見につながり死亡者を減らせる”という意見があるようですが、この統計からは“早期発見”との因果関係はわかりません。仮に万が一そうだったとしても、ウイルスの増殖を確実に止める薬が使えない限り、自分が感染者だと自覚できるだけで、その当人の死亡率は変りません。
 検査を実施した対象者は、症状があり陽性の疑いをもって検査を要請してきた人やその濃厚接触者などでしょうけれど、内訳は示されていません。ですので評価がむずかしいところです。ただ、“検査をする必要がある”という前提でしているのであれば、“11人中10人は「陽性」が出なかった”と言えます。あえて“思いのほか少なかった”とは言いませんが。

 4月20日の厚労省HPの「感染者は10,751例」は累積感染者数、つまり、“患者”だけではなく、“PCR検査陽性時無症状の人”・“PCR検査陽性時症状の有無確認中の者”を含めた総数の累積です。当然昨日より今日の方が少なくなることはありません。つまり“増え続ける”のです。


 実際のPCR検査陽性者(感染者)では、症状のある者が62%、症状のない者が7%、残りは症状の有無の確認中の者となっています。(次頁の図参照)。PCR検査の精度はともかく、現在陽性であれば2/3近くは症状のある者を捉えているといえます。
 次に、このPCR検査陽性者(感染者)の経過と転帰について見て行きます。次の図は厚労省HPの、“PCR検査陽性者(感染者)”のうち、その日の時点で、“入院した者の累積数”を「入院治療を要する者」、“病院にいない者の累積数”を「退院した者」「死亡者」に分けたものです。「」内の言葉はHPで用いられているものです。図の中では厚労省HPの表現を用います。

PCR検査陽性者のうち常に8割強の人が“入院等”になります。では次にこの「入院治療を要する者」の内訳を見てみます。

 この図からは、「症状有無確認中」が1/3ほどあるので正確な評価は難しいですが、少なくとも軽症・中等症の人が経過中を通じて半分占めていること、人工呼吸を含めた集中治療が必要になる人は3月はじめに1割ほどであったのが経過中に漸減し現在2%弱であること、がわかります。4月21日現在、集中治療を要する重症・重篤な人は日本国中で232人です。

 なお、PCR検査陽性者(感染者)のうち入院治療を要する者が8割強という数字をどう考えるかです。まず、患者の内訳、つまり年齢、基礎疾患の有無のうち、年齢別について見てみます。


 PCR検査陽性者(感染者)は、20代以後感染者がみられますが、集中治療を要する者(重症・重篤者)や死亡者は、ほぼ60代以後に集中しています。
統計では基礎疾患の有無がわかりませんが、高齢者については、多くの場合何らかの基礎疾患を有しているので、若い人よりも重症化しやすいものと思われます

 次に、日毎のPCR検査陽性者(感染者)数の推移を見てみます。

 この図を見ると、3月下旬から患者数が直線的に増加し、4月12日をピークに減少基調となっていることがわかります。現時点では、決して増加基調が続いているわけではありません。ここまでお読み下さった方に感謝いたします。