日本の「外国人犯罪」 後編

作家・外国人犯罪対策講師 坂東忠信

ジャパニズム53号では、52号に引き続き、社会に非公開とされている平成30年中の「在日」外国人犯罪について紹介しました。元となった自民党衆議院議員の長尾敬先生が警察庁から取り寄せた資料には、全体像だけでなく罪種ごとに分析できる多数のデータが詰まっていました。WEB版となった後編でも、「在日」と「来日」だけでなく、その全体における割合なども把握しながらその特徴を見ていきましょう。前編、中編については、ジャパニズム52号、53号をご参照いただければと思います。

53号でも説明しましたが、4年前に発表の拙著「在日特権と犯罪」では、来日と在日の合計が外国人全体だったのですが、平成28年以降の今回の資料では、新しく外国人も日本人同様住民登録されることになった関係から登録されていない「在日米軍関係者」と「検挙時の滞在資格不明者」は含まれていません(警察庁では「在日外国人」にこれらを含めた場合は、「その他の外国人」と表現しています。つまり「来日外国人」+「その他の外国人」=外国人全体、となります)。

以下に掲載する「外国人の合計件数」には、あくまで国籍が判明した「来日」「在日」をもとに計算しているため、外国人犯罪検挙総数は警察庁のものと合っていないことがあります。その点ご注意ください。

2 特別法犯検挙状況

実は特別法犯のほうが、国内全体における外国人の検挙率が高いのです。
全体の割合は図9のとおりで、検挙件数・検挙人口とも、「韓国・北朝鮮 中国」で全体の6割を占めています。
では、同様に特別法犯も見てみましょう。

(表9 特別法犯)
特別法犯 国内総検挙件数 7万4031件
(人員 6万2894人)  
外国人検挙件数
8304件(11.22%
来日検挙件数
6662件(75.35%)
在日検挙件数
1642件(24.65%

特別法犯というのは、わかりやすくすごく簡単に言うと、原始時代の頃にはなかったけど、人間社会の文明の発達に伴って、「こういう事もできるようになったけど、お互いのためにやらないようにしようね」ということで定められた罪です。

(図9 特別法犯検挙件数と人員数・上段:来日/下段:在日)

検挙件数・検挙人員ともに、来日では中国とベトナムが、在日枠では中国と韓国が3分の2以上を占めています。

次にその内訳を見てまいりましょう。なお平成28年以降は「組織犯罪の情勢」に暴力団検挙状況などと一括され紙面が縮小した結果、円グラフが掲載されていないため、以下円グラフは坂東作成の「在日」分のみとなります。

(1)銃刀法

(表10 銃刀法違反)
銃刀法違反 国内総検挙件数 5516件
外国人検挙件数
946件(17.15%
来日検挙件数
836件(56.03%)
在日検挙件数
110件(43.97%
(図10 銃刀法の在日検挙件数)

(2)入管法

(表11 入管法違反)
入管法違反 国内総検挙件数 5114件
外国人検挙件数
4843件(94.70%
来日検挙件数
4744件(97.96%)
在日検挙件数
99件(2.04%

よく見ると、全体における外国人の割合がすごく高い上に、「在日」が圧倒的に少なくてちょっと変でしょ?

これが刑法犯における来日の検挙人員数と件数を圧倒的に引き上げているのです。この入管法を除くと、来日の検挙件数は1918件、在日は1543件となり、来日と在日の差が4000件以上もあった刑法犯検挙件数とは大きく異なるのです。

つまり、入管法を除くと、在日の方が特別法犯で検挙される割合が高くなるのです。

また入管法に関しては、日本人が検挙される事案は少ないため、日本人と外国人との比較は意味をなさないのです。

さらに、資格に基づく滞在期間や申請条件が異なっているため、来日(「留学生」「技能実習生」など資格やスキルに関わるもの)と在日(「永住」「特別永住」など身分に関わるもの)の性質が違うこともあり、「来日」と「在日」の検挙に関しては、比較してもあまり意味がないのです。この点に注意が必要です。

(図11 入管法の在日検挙件数)