病院は要らない? 東大健康院構想-医療と大学の再設計

スピリチュアル矢作直樹

著者:矢作直樹

ISBN:978-4792608033

判型:四六判/並製

定価:1980円(税込み)

医療はなぜ「病気になってから」始まるのか。病院は病気を治す場所である。ではー健康を育てる医療はあるのか。医療の重心を、少し前へ。未病を中心に据える、静かな医療改革。

【目次】

序  医療の重心を少し前へ

第1章 医療はなぜ「病気になってから」始まるのか
―なぜ未病は制度の中心に置かれないのか
医療は発病後に設計されている
未病という視点
外来の具体例
なぜ未病は制度化されないのか
健康は制度化されていない
病院の限界
制度が追いかける構造
問いの転換―次章への橋渡し

第2章 大学は医療を再設計できるのか
―附属病院という構造の再点検
「附属」という位置づけ
実業と学術の非対称
評価制度の影響
ガバナンス教育という制度的空白
国際卓越研究大学と健康創造
本章の結論

第3章 未病という連続体―健康を動的システムとして捉える
健康と病気は連続している
銭湯で見た身体の変化
医療の目的は何か
未病という視点
慢性疾患の時代
健康は制度の外で決まる
経済構造という見えにくい前提
結語

第4章 東大健康院という制度構想
―未病を中心とした新しい医療制度
1.構造(静的骨格)
 健康院構想―三層骨格
2.転換のロジック(動的プロセス)
 健康院構想―未病を制度の中心に据える
  第一段階:目的の再定義
  第二段階:制度の重心移動
   健康院とは何か
   ① 組織構造の再設計
   ② 未病センターの常設化
    ■ 未病指数という考え方
   ③ 予算配分の転換
  第三段階:評価制度との接続
3.実装(現実化)
 実現への三段階ロードマップ
4.現実との接続
 現行制度改革と「健康創造」への接続
5.抵抗への応答
 想定される疑問と応答
6.総括
 静かな制度転換
7.行動提示
 東京大学が今できる第一歩
 医師配置という制度設計の課題

第5章 医療制度はなぜ変わらないのか
―評価制度から考える
評価制度への切り込み―量から質へ
 1.量産構造の副作用
 2.新たな評価軸―二軸評価モデル
 3.健康院を動かす最小制度モデル
  ① 財源―医療費の「前倒し」という発想
  ② 業務評価―治療評価と健康評価の二軸化
  ③ 評価の実行者―AI評価と人間判断
  ④ ガバナンス―講座制とは別のガバナンスライン
  ⑤ 人事―三つのキャリア
 4.国際卓越研究大学との接続

第6章 医学教育の裾野を広げる
―医工連携による新しい医療人材の育成
1.なぜ共通言語が必要なのか
2.なぜ共通言語が生まれないのか―制度的要因
3.医工連携教育は、いかに制度化し得るか
 ―三段階導入という現実的な道筋
4.医工統合トラックという最小制度モデル
5.共通言語は制度の中で育つ
6.制度・評価・教育の三位一体

第7章 未病が制度になるとき―大学から始まる社会実装
1.目的起点で再設計するということ
2.健康院が試金石となる理由
3.小さく始めて、大きく波及させる
4.大学の使命を制度として可視化する
5.危機を契機とする成熟
6.五年後の風景―健康院が動き出した時

第8章 国民皆保険制度の制度疲労と移行設計
―医療の重心を前へ移すために
1.国民皆保険の歴史的役割
2.時代の変化と制度疲労
3.なぜ制度の背骨は変わらなかったのか
4.部分的修正としてのDPC導入
5.治療中心から機能維持中心へ
6.出来高払い構造の帰結―医療行為が増えやすい制度設計
7.介護保険制度の再検討
8.国民皆保険は廃止か、再設計か
9.健康院構想との接続
10.国民が重心を移す場面
11.医療の重心を未来へ

終 章 健康創造型大学への道
卓越の次に問われるもの
健康観の転換と空白の問題
医療の純化という方向
人は制度の中で合理的に動く

あとがき
付録:医工統合トラック制度設計試案